2008年04月08日
2008年03月31日
二十億光年の孤独 (集英社文庫 た 18-9) (
- 「万有引力とはひき合う孤独の力である」 −二十億光年の孤独−
"Universal gravitation is the power of the solitudes pulling each other." -two billion light-years of Solitude-
この文庫のおもしろいところは、英訳と著者の草稿、コピーが一緒になっていること。
別の視点から見るおもしろさがあり、そして谷川の言葉運びに改めてほれぼれする。
英訳と比べてみると、それは分かる。
詩はどんなに上手に訳しても、原文の30%も引き出すことはできないという言葉があるが、なるほどと納得する。
そこかしこに科学用語が使われているが、彼の日本語はそれがあまり無機質な響きを持たない。
英語になると、ふむ、どこかよそよそしいのはなぜだろうか。
英訳が対になっていることで、見つかる日本語の美しさもある。
ふだん詩を読まない人間でも、この本は楽しめた。
おすすめの一冊。 - 詩人谷川俊太郎の記念すべき出発点となった昭和の名詩集《二十億光年の孤独》が文庫本でお目見えするのは、なんとこれがはじめてなんだそうです。意外な気がします。
いまから半世紀も昔に、太平洋戦争の敗戦国でまだ貧しかった日本の、二十歳そこそこの若者が出版したとは信じられないくらいに、みずみずしい抒情と快活な才気に富んだ詩が50篇。
当時の詩壇の大御所だった三好達治が序詩を寄せて絶賛したことも納得できる、画期的で清新な詩集です。
処女作には作家のすべてがあるとしばしばいわれますが、この詩人の場合も、現在にいたる旺盛な詩作の拡がりと深まりの萌芽をここに見いだすことができるのではないかしら。
本書には、表題の詩集のほかに、読解の助けになる貴重な文章がいくつか、草稿となった自筆の大学ノートの一部の写真版、それから高校程度の英語力があれば読めそうな全作品のやさしい英訳までも附録についていて、文句のつけようがない充実ぶりです。
これはおすすめ。
2008年03月30日
2008年03月28日
失楽園 下 岩波文庫 赤 206-3
- 非常に評価が高いのは、読んでみてわかるが、まず日本語訳がすばらしい。というか、ただの訳者ではなく、あきらかに研究者である。本の5分の1程度の頁が、訳注にあてられており、聖書との関連性をはじめ作者の意図を読み込んだ訳作りがありありとわかる。
僕は普段あまり難しい本は読まないのだけれど、この本については、少しのがんばり程度でよめる。なぜ「少しのがんばり」かというと、「詩」であるので、ものすごい技巧的な表現が多い。とても普段使わないような修飾語が多く、それをじっくり味わうつもりで読まなければ、この本の真価はわからない。
そういう意味で、自分がこの作品に5つ星をつけるのはあまりにおこがましいので、4つ星にさせていただいた。
この作品は、1600年台なので、もちろん聖書がかかれた年代から考えれば、その創世記に新たな息を吹き込んだその試みは、現代で聖書をとりあげるのとそんなにかわらないのではないか。特に面白かったのは、ミルトンはガリレオと交流があったようで、その影響か、アダムと天使の会話に、天体の話がでてくるところだ。天動説か地動説かはっきりとは書いていないけれど、要するに、神が設計した宇宙の神秘を、愚かにも人間が解き明かそうなどと考えず、神が人間に期待したように信仰にいきるのが大切だという主旨になっている。
また、上巻の善と悪の天使軍団の戦いは、日本語が超一流なので、まるで舞台か映画をみているようだ。天使が力と力でガチンコ勝負するなんていままで考えたこともなかった。漫画デビルマンの最期をつい思い起こしてしまう。というか、永井豪さん、絶対これ、よんでると思う。
もひとつ面白かったのは、アダムとイブが禁断の果実を食べた後、仲がよかった二人が、責任転嫁をし合うくだり。想像力豊かな聖書からの肉付けが楽しめる。 - 「一敗地に塗れたからといって、それがどうだというのだ?すべてが失われたわけではない」
そう喝破する盟主サタンに生きる勇気を与えて貰いました。
一敗地に塗れたら立ち上がるのさえままらないのに、完膚無きまで負けたサタンの何という雄々しさ!
その反面反乱を悔やんだり人間に対し愛憎入り交じる想いを吐露するその姿には、万人が共感を覚えると思います。
作者ミルトンは目を病みしかも政権争いに巻き込まれ失墜したのに朗々と神の栄光を讃える本書は生涯のうちに一度は読んで欲しいと思っています。
人間の善性を信じるというのはこういうことなんでしょうね。
惜しむべきは、ミルトンがサタンとルシファーを同一人物(同一魔王?)と書いてしまったため後世に置いてまでこの2人が混同されいることです。 - 初めて読んだ時は難しいのかな?と構えていましたが、文体が簡潔かつ美しく、スイスイと読み進められました。こんな読みやすい邦訳の古典は余りないと思います。
小難しく考えずに、男前堕天使サタン様の活躍を応援しつつファンタジー感覚で読んでみては?
因みにストーリーの面白さ、という点に置いては上巻が断然勝っています。
今後ますます認知度が高まるかもしれません。 - 想像してみてください、神と天使が大軍勢になって
同じく天使の大軍勢を天から地の底まで追い落として行くその壮観さ。
戦いの天使ミカエルの剣を、火となって燃えて落ちゆくルシファーが受ける。
これをはじめて読んだときには、そのダイナミックな光景に
手に汗を握りました。
地獄のものとなったルシファたちの怒りと恨みの炎にも
天使たちの大胆さと神々しさにも目を見張る上巻です。
下巻では地獄に落とされたルシファー(サタン)が蛇になって
神の最も愛する最初の人間アダムとイブに
復讐を企てる有名な物語が綴られますが
上巻と違って人間の情けなさ卑屈さを感じずにはいられません。
流れるような文体と、堂々たるストーリー。
古典名作中の名作でしょう。 - 私はそれほど聖書通でもないため、専ら小説としての読み方しかできなかったのであるが、すばらしい作品であった。
神との戦いに敗れたルシファー(ルシーファ)が地獄でサタンと化しながらも不撓の精神で復讐に挑むという前半部分と、サタンの姦計によりアダムとイブが神との契りを犯し楽園を追われるに至るという後半部分の、それぞれに魅力がある。
後半部分は禁断の果実を食し「理性」を手に入れてしまった人間の醜悪性が見事に浮き彫りにされている。アダムとイブの責任の擦り付け合いの描写はあまりに醜悪で、思わず目を背けたくなる。
2008年03月26日
失楽園 下 岩波文庫 赤 206-3
- 非常に評価が高いのは、読んでみてわかるが、まず日本語訳がすばらしい。というか、ただの訳者ではなく、あきらかに研究者である。本の5分の1程度の頁が、訳注にあてられており、聖書との関連性をはじめ作者の意図を読み込んだ訳作りがありありとわかる。
僕は普段あまり難しい本は読まないのだけれど、この本については、少しのがんばり程度でよめる。なぜ「少しのがんばり」かというと、「詩」であるので、ものすごい技巧的な表現が多い。とても普段使わないような修飾語が多く、それをじっくり味わうつもりで読まなければ、この本の真価はわからない。
そういう意味で、自分がこの作品に5つ星をつけるのはあまりにおこがましいので、4つ星にさせていただいた。
この作品は、1600年台なので、もちろん聖書がかかれた年代から考えれば、その創世記に新たな息を吹き込んだその試みは、現代で聖書をとりあげるのとそんなにかわらないのではないか。特に面白かったのは、ミルトンはガリレオと交流があったようで、その影響か、アダムと天使の会話に、天体の話がでてくるところだ。天動説か地動説かはっきりとは書いていないけれど、要するに、神が設計した宇宙の神秘を、愚かにも人間が解き明かそうなどと考えず、神が人間に期待したように信仰にいきるのが大切だという主旨になっている。
また、上巻の善と悪の天使軍団の戦いは、日本語が超一流なので、まるで舞台か映画をみているようだ。天使が力と力でガチンコ勝負するなんていままで考えたこともなかった。漫画デビルマンの最期をつい思い起こしてしまう。というか、永井豪さん、絶対これ、よんでると思う。
もひとつ面白かったのは、アダムとイブが禁断の果実を食べた後、仲がよかった二人が、責任転嫁をし合うくだり。想像力豊かな聖書からの肉付けが楽しめる。 - 「一敗地に塗れたからといって、それがどうだというのだ?すべてが失われたわけではない」
そう喝破する盟主サタンに生きる勇気を与えて貰いました。
一敗地に塗れたら立ち上がるのさえままらないのに、完膚無きまで負けたサタンの何という雄々しさ!
その反面反乱を悔やんだり人間に対し愛憎入り交じる想いを吐露するその姿には、万人が共感を覚えると思います。
作者ミルトンは目を病みしかも政権争いに巻き込まれ失墜したのに朗々と神の栄光を讃える本書は生涯のうちに一度は読んで欲しいと思っています。
人間の善性を信じるというのはこういうことなんでしょうね。
惜しむべきは、ミルトンがサタンとルシファーを同一人物(同一魔王?)と書いてしまったため後世に置いてまでこの2人が混同されいることです。 - 初めて読んだ時は難しいのかな?と構えていましたが、文体が簡潔かつ美しく、スイスイと読み進められました。こんな読みやすい邦訳の古典は余りないと思います。
小難しく考えずに、男前堕天使サタン様の活躍を応援しつつファンタジー感覚で読んでみては?
因みにストーリーの面白さ、という点に置いては上巻が断然勝っています。
今後ますます認知度が高まるかもしれません。 - 想像してみてください、神と天使が大軍勢になって
同じく天使の大軍勢を天から地の底まで追い落として行くその壮観さ。
戦いの天使ミカエルの剣を、火となって燃えて落ちゆくルシファーが受ける。
これをはじめて読んだときには、そのダイナミックな光景に
手に汗を握りました。
地獄のものとなったルシファたちの怒りと恨みの炎にも
天使たちの大胆さと神々しさにも目を見張る上巻です。
下巻では地獄に落とされたルシファー(サタン)が蛇になって
神の最も愛する最初の人間アダムとイブに
復讐を企てる有名な物語が綴られますが
上巻と違って人間の情けなさ卑屈さを感じずにはいられません。
流れるような文体と、堂々たるストーリー。
古典名作中の名作でしょう。 - 私はそれほど聖書通でもないため、専ら小説としての読み方しかできなかったのであるが、すばらしい作品であった。
神との戦いに敗れたルシファー(ルシーファ)が地獄でサタンと化しながらも不撓の精神で復讐に挑むという前半部分と、サタンの姦計によりアダムとイブが神との契りを犯し楽園を追われるに至るという後半部分の、それぞれに魅力がある。
後半部分は禁断の果実を食し「理性」を手に入れてしまった人間の醜悪性が見事に浮き彫りにされている。アダムとイブの責任の擦り付け合いの描写はあまりに醜悪で、思わず目を背けたくなる。
2008年03月25日
ビートルズ全詩集
- ビートルズの歌詞を翻訳する者は、数多くいるが、一人一人が主張を持って訳するものだから、歌詞の解釈、翻訳の内容・雰囲気は千差万別である。内田久美子は、この版以前90年にもおなじような「全詩集」を出している。個々人で解釈が違う・訳し方が違うのはわかるとしても、1個人でも年毎に解釈が変わる、それがビートルズなのだ。今日のベストは、これ!明日は、どうなるか、どの曲が自分の中では、第1位を占めるのか、日本語に約するとすればどういう感じになるのか、わからない。このような翻訳者の悩みは、今後もずっと続くんだろうなあ。だから、私は、敢えて訳さない。 ”Let It Be!”なんて、日本語にならないよ。
- ビートルズの曲を、『PLEASE PLEASE ME』〜『PAST MASTERS』までのアルバムソング183曲の歌詞をすべて掲載し、対訳をつけた労作。作詞作曲のクレジットまで丁寧につけている。訳についての好みはそれぞれかと思うが、上質の紙を使用した全469ページで、愛蔵版としての重々しさがある。
- ビートルズというと当人たちが自分の演奏が聞こえないとぼやくぐらいの悲鳴と歓声でファンがラブコールをするというのがつきものですが、この訳詞は柔らかくて囁くようで、まるで訳詞を通してビートルズと触れ合っているようで、読んでいて気持ち良くなりました。ビートルズの詩を翻訳して読者に読ませるというよりも、ビートルズの詩を英語で受け取って日本語で解釈し、彼らにラブコールを投げ返しているような印象を受けます。CDの対訳以外に最近ではネットでも訳詞や解釈が出回っているので、この本と照らし合わせれば英語の勉強にもなります。
星が一つ少ないのは、アルバム順の目次が検索しにくいからです。この曲の詩を知りたいと急に思い立った時にアルバム順で最後にアルバムに入っていないシングルカットが来る目次で調べるのは、ビートルズにそれほど詳しくない自分には手間も時間もかかる。それと、なかなか手に入りにくいのもちょっとマイナスポイントかな。まあ、個人的なことですが。 - ずっと前からこんな本があればいいなと思っていたので、見つけてすぐに購入しました。私は英語の勉強のためにも愛用しています。英英辞典片手に、日本語訳の部分を隠して、自分なりの詩の解釈を楽しんでいます。今まで、耳だけでさらっと聞き流していた歌詞をじっくり読み込んでいくと、その詩の深さに驚くとともに感動も倍増しています。その曲を流しながら、一日一曲ずつ、詩を味わうという楽しみができました。ビートルズ好きの方にも、英語の勉強をしている方にも、詩を読むのが好きな方にもおすすめの一冊です。
- シンコーミュージックからソニーミュージックパブリッシングに版権が移り出版されたオリジナル全詩集。オリジナル楽曲全183編を「正確な原詞に基づき忠実な対訳」したといます。原詩の繰り返しは忠実にそのままのせていますし、訳の日本語が何より美しいのです。
初期のはじけるような、かといって俗っぽくない訳、中期In My Lifeの叙情的な訳、Tomorrow Never Knowsの宇宙観のある訳、後期のHere Comes The Sunのグループの苦悩が浮かび上がる訳・・・訳者、内田さんの控えめで忠実で愛情のある訳がすばらしいです。
2008年03月24日
オイスター・ボーイの憂鬱な死
- ナイトメア〜でもコープスブライドでも
『ティムバートンの世界』が好きな方はまず嫌いな方はいないと思います。
「大人向け絵本」といわれる所以は、
『性』の要素がブラックに配合されてるからだと思います。
彼の作品で唯一この要素が強調されている貴重なモノです。
それと普段より、ちょっぴりざんこく、と思います。
でもそのざんこくからは『悪意』は感じませんでした。
短編でユニークな『こども』が登場するのですが
流石、バートン、ただの子供じゃぁない。
ぱっと思いつく表現だと『フリーク』という感じです。
人間と○○(生き物でさえなかったりする)のあいの子だとか・・・!!
黒い笑いのバートンを愉しみたい方は是非ww - ティムバートンが好きで買っちゃいました。DVDのジャケットサイズで、短編集です。基本的に白黒で所々色が付けられています。とにかくキャラクターが最高で、読み終わったらフィギアまで揃えてしまいそうな...。ストーリーは独特で大人にしか理解しにくい様な内容。映画とは違ったティムバートンの世界に浸れます。詩集なので、パラパラッと読めちゃいます。日本語のほうにも、最後に英語での文面が載っていますので、自分なりに訳してみても楽しいです。大人の友人へのプレゼントにも。
- こんなに屈折していて暗くて憂鬱なのに、読んだあと爽快だというのが素晴らしい。さすがバートン。憂鬱に笑いながら浸れる。彼の映画が好きな人は間違いなく楽しい一冊。イラストは怖くて可愛いし、全てのボーイ&ガールが愛しく思えることだろう。
翻訳は大変だったろうと思うけど、やっぱり英語の方がオススメ。意図を汲みきれていない。英語で読んだ方が楽しい。そこが惜しい。良いとこもあるんだけど。
- 「大人向け絵本」という呼び方が定着していますが、そんな陳腐なカテゴリじゃない、Coolな本です。
愛らしく不気味なキャラクターたち、不条理なストーリー。小気味のいいブラック感。本を閉じた後、天才としかいいようのない本の完成度に打ちのめされました。一見殴り書きのような、思いついたままのような内容に思えますが、計算されています。その計算の跡を見つけるのも難しいくらいです。鬼才、という言葉がピッタリです。
ティム・バートンファンはもちろん、エドワード・ゴーリーのファンにもきっとたまらない1冊です。日本語訳にちょっと気になる部分があるので、英語版に抵抗がない人は英語版のほうがいいかもしれません。
- 不思議な世界観で繰り広げられるユーモアと切なさがミックスチャーされて何とも言いがたい気持ちになりました。悲しくて切なくて、でも落ち込むまではいかなくて。とっても素敵な本にめぐり合えたなあと思いました。
イラストがまたとってもいい感じなんです。
洋書版も本屋さんにあったのですが、日本語版とは装丁も違い、英語の文章とイラストが一緒になっているのもいい味が出ています。
英語がわかる方には洋書版もおすすめしますよ!
2008年02月29日
対訳 ブレイク詩集―イギリス詩人選〈4〉 (
・備前焼とナルキッソス
・○ワーズワースの詩がラップに=観光局が動画サイト−英
・ワーズワースの詩がラップに=観光局が動画サイト−英 http: ...
・ワーズワース ”I wondered lonely as a Cloud”
・The Daffodils
・レポート作成
・思い出の番組
・[教育論]大学教育の意味
・瞳を開けてみる夢 孤独の中、彷徨い出遭う黄金の花は
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